遠方にある実家の空き家管理 自分で見ること・人に頼むこと

最終確認日 2026年10月6日

すぐに売ることも解体することもできない空き家は、傷みや近所への迷惑が出ないように管理を続けることが所有者の役目です。遠くに住んでいて通えない場合は、定期的な管理も含めて業者などに頼むことが、国の指針でも方法の1つとして挙げられています。

なぜ管理が必要か

人が住んでいない家は、不具合に気づきにくく、傷みが早く進みます。管理が足りないと市町村から「管理不全空家等」として指導を受けることがあり、勧告まで進むと土地の固定資産税の軽減が受けられなくなります(空き家の固定資産税が上がるのはどんなとき、空き家を放置するとどうなる)。

国土交通省のガイドラインによると、空き家の所有者のうち、自宅から空き家まで1時間を超える人は約3割です(同省の令和元年の調査)。離れていて通えないのは、めずらしいことではありません。

点検すること

国の指針は、所有者が一定の頻度で点検し、傷みがあれば直すことを求めています。回数は決められていません。点検するのは、次のような点です。

見るところ確かめること
建物傾き、屋根の変形、外壁や屋根材のはがれ・落下、雨水が入った跡、柱や土台の腐り・シロアリ
門・塀・擁壁傾き、ひび割れ、水抜き穴の詰まり
庭木幹の傾きや腐り、枝が隣の敷地や道路にはみ出していないか
排水・衛生排水まわりのにおい、排水口の水(封水)が切れていないか、害虫、動物のすみつき、ごみ
戸締まり窓や戸の破損、人が入った跡

傷みを防ぐために、指針は次のことを定期的に行うよう求めています。

  • 窓を開けて、風を通す(通気・換気)
  • 排水口に水を足す(においや虫が上がるのを防ぐ)
  • 掃除をする
  • 庭木の枝を切る
  • 擁壁の水抜き穴を掃除する

このほか、郵便物の確認と整理、冬に水道の元栓を閉めることも、行うことが望ましい管理として挙げられています。地震・強風・大雨・大雪のあとは、傷みが出ていないかを確かめます。

出典:総務省・国土交通省「空家等に関する施策を総合的かつ計画的に実施するための基本的な指針」の「所有者等による空家等の適切な管理について指針となるべき事項」

通えないときは、頼むことを考える

指針は、少なくとも定期的な管理は所有者が自分で行うことを基本としています。そのうえで、専門の知識が要る点検や補修、遠くに住んでいて自分ではできない場合の定期的な管理は、空き家の管理・点検・補修を行う業者などに頼むことが考えられる、としています。

頼み方は、家の状態と事情に合わせて選べます。国土交通省のガイドラインは、次のような例を挙げています。

  • 相談だけする:何から始めればよいか分からないときに、不動産会社に相談する
  • 外から見てもらう:家の中には入らず、戸締まりや庭木のはみ出しなどを定期的に確かめてもらう(家の中の片付けが済んでいないときなど)
  • 中の作業も頼む:定期的に見回り、家の中で風を通すところまで頼む(遠くに住んでいるときなど)

すでに市町村から指導や勧告を受けている家や、傷みがひどい家は、管理を引き受けてもらえないことがあります。その場合は、先に修繕や解体を考えることになります。

頼む前に、契約で確かめること

空き家の管理は、さまざまな業者が引き受けていますが、仕事が適正に行われるようにするための制度はまだありません(国土交通省のガイドライン、令和6年6月時点)。頼む側が、契約の中身を書面で確かめることが大切です。ガイドラインが、契約書に定める事項として挙げているのは次の点です。

  1. 作業の内容と回数:何を、どのくらいの頻度で行うか。外から見るだけか、家の中に入るか
  2. 料金:金額と、支払いの時期・方法
  3. 報告の方法:作業のたびに、写真などで報告があるか
  4. 壊れたとき・なくなったときの責任:どんな場合に業者が責任を負うか。業者が賠償の保険に入っているか
  5. 電気・水道・ガス:使える状態にしておくか止めるか、料金をだれが払うか
  6. 家に残っている物:貴重品は、頼む前に持ち出しておく。動かせない家財の扱い
  7. 別の業者に任せる作業:あるかどうか、任せる先
  8. 契約の期間:更新とやめ方

契約の前に、業者と一緒に家の中と敷地を見て、傷みや家財の状態を書面や写真で残しておくと、あとの行き違いを防げます。大雨や地震のあとの見回りは、ふだんの契約には含めず、そのつど別に頼む形になることがあります。

料金は、作業の内容と回数によって変わります。公的な目安は見つからなかったため、このページには載せていません。複数の業者の見積もりで確かめてください。

出典:国土交通省「不動産業者による空き家管理受託のガイドライン」(令和6年6月)。不動産会社が管理を引き受けるときの標準的な決まりを示したものです。

茨城県で、管理の費用に助成がある市町村

当サイトが確認した範囲では、空き家の見守りや草刈りの費用への助成は、茨城県では常陸太田市と大子町で見つかりました(2026年10月6日時点)。どちらも、空き家バンクに登録している物件が対象です。

市町村・制度対象金額
常陸太田市
空き家・空き地見守り等助成金
市内の業者に頼んだ点検、除草・剪定・伐採点検は1回上限2千円、除草などは費用の2分の1(年度に上限5万円)。それぞれ年度内に2回まで
大子町
空き家片付け支援補助金
家財の撤去・清掃・除草上限10万円

各市町の公式ページをもとに作成。条件・申請の期限・受付状況は、市町村のページでご確認ください。

草木の手入れなどの相談先を、市町村が一覧にしていることもあります(たとえばひたちなか市)。頼み先に迷ったら、市町村の空き家の担当課に聞いてみてください。担当課の連絡先は、市町村のページに載せています。

管理を続けるか、手放すか

管理には、手間と費用がかかり続けます。国土交通省の調査では、空き家の所有者のうち「管理の作業が大変」と答えた人が32%いました。使う予定がないなら、手放す方法や空き家バンクもあわせて考えてください。家の中の物が片付いていないときは、実家の片付けの進め方も参考になります。

出典:国土交通省「令和6年空き家所有者実態調査」。2026年10月10日確認。個別の契約の内容は、業者や消費生活センターにご確認ください。